ブログ説明


早穂理さんは、いのちの森「水輪」を造った塩澤夫妻の娘さんのお名前です。出産時に分娩の医療ミスにより、脳に傷をつけてしまいました。
早穂理さんは歩くことも、話すことも、自分の手で食べることもできませんが、心はみんな解っているようです。そんな早穂理さんの毎日を紹介させて頂きます。
ご感想・お問合せは、メール suirin@suirin.com までお願いいたします。

2013年12月31日火曜日

一年の終わりにありがとう


こんにちは。さいきんのさおりちゃんは、とってもげんきです。
たくさん声を出して、生きる喜びを表現してくれています。
わたしが、さおりちゃんすごいなあ、といつも思うのは、自分の境遇に負けていないということです。
いつも力強く、生きているってこんなに嬉しい!とまわりの私たちに示してくれていることです。
さおりちゃんは、38歳にして一度も人を憎んだり、ねたんだり、人の悪口をいったりしたことがない、その純真無垢さは、スジガネいりです。
いつも、大きなものとつながって、エゴのない意識のありようを表現してくれています。さおりちゃん、いつもありがとうございます。
今年一年、ごくろうさまでした。
今年の5月には大風邪をひいてしまって死線をさまよったけれど、帰ってきてくれて本当に良かった。
私も、自分の在り方を考え直しながら、さおりちゃんとともに生きていきたいと思います。






担当、佐藤りえ

2013年12月19日木曜日

ゆず湯


こんにちは。今日は木曜日、さおりちゃんの移動入浴の日です。
さおり庵の窓から見えるのは、一面の銀世界、真っ白な雪が降り積もり、まぶしく光を反射します。




そんなゆきのなかを、ヘルパーさんたちは移動入浴車に乗って長野市内から飯綱高原へ、山道をのぼって来てくださいます。
さおりちゃんは、週に一回だけお風呂に入ることができますが、先週は乳腺症が悪化してお休みしたので、二週間ぶりの入浴になりました。
今日はなんと、「ゆず湯」でした。
ゆずのなんともさわやかないい香りが、ほのかにただよって、さおりちゃんもほかほかに温まり、満足げでした。





担当:佐藤りえ

2013年12月13日金曜日

ひとりひとりがナイチンゲール

こんにちは。昨日は、さおり庵で、福祉の原点は愛だということを知る授業がなされました。

まず、さおりちゃんがどんなことを感じているかを知るために、自分で紙おむつをつけて一日過ごしました。排泄も排尿も、その中にしました。
それで分かったことは、紙おむつはとても蒸れるということです。それに紙ががさがさして、肌が擦れていたいということ。さおりちゃんが毎日どんなふうに感じて生きているか。

もう一つは、さおりちゃんは、毎食、鼻からのチューブでご飯を食べています。一日に2回、何時間ものあいだお鼻のチューブをつけているのですが、それがどんな感じなのか、みんなで鼻チューブを実際に自分に入れてみる実習をしました。
最初、みどり先生がご自分で鼻に入れて見せてくれました。みんな、なかなかすんなりいれられず、げほげほとむせたり、もどしそうになる人もいました。

その時に、みどり先生が、これは、自分の中の愛を知るための実習です。なんのためにやるかといったら、私たちがこの世に生かされているのなら、愛を知るためにいかされているのかもしれないとおもうのです。自分自分と固執する意識を捨てて、おそれを手放してみなさい。と背中を押してくださいました。その声を聴いていると安心してすうーっとチューブを入れることができました。

鼻チューブをつけてみると、鼻の奥やのどの奥が擦れて痛かったり、異物感があって、つばをのみこみずらかったり、目の神経が刺激されて涙が出てきたり、みんなそれぞれ体験してみて、さおりさんの大変さが少しわかりました。
そのままお水を飲んでみましたが、不快なかんじがしました。
チューブを鼻からぶらぶらとさせているのも、不快で、動かしてほしくないと思いました。毎日のさおりちゃんのお食事で、無造作に鼻チューブを扱っていたことを反省し、もっと注意深く接しようと思いました。

 みどりせんせいは、さおりちゃんの入院中、さおりちゃんがお鼻のチューブをつける前に、ご自分で左右の鼻を一週間ずつ鼻チューブをつけてすごし、話すことのできないさおりちゃんの身になって試してみたそうです。

 体験しないとわからない、なかなか体験することのできない、貴重な、いのちのじゅぎょうでした。

 
担当;佐藤りえ

2013年12月10日火曜日

グレッグラー医師

例年ゴールデンウィークに水輪で開催される、国際アントロポゾフィー医学ゼミナール、その学会の最後の日の夜に、毎回「感謝の夕べ」と言って、学会をサポートしている水輪の私たちに、医学ゼミナールの参加者の方々がいろいろな出し物をしてみせていただきます。その感謝の夕べでゲーテアヌム精神科学自由大学医学部門代表、ミヒャエラ・グレックラー博士が、水輪,そしてさおりさんのことをお話しされましたので、以下お話しの内容を掲載させていただきます。

グレックラー博士は、いつもさおりさんのお部屋に来てくださり、愛の思いのこもった優しいまなざしで、さおりさんの手や足をさすってくださり、とても深いところでつながり合っていることを感じています。

 
担当:佐藤りえ 
 
 
201253日 「感謝の夕べ」 

ミヒャエラ・グレッグラー先生からの感謝の言葉

本当に私は皆さんにお礼の言葉を述べたいと思います。ただ一人でピアノなしで歌う気にはなれません。ですからその代わりに皆で歌うことができてとても良かったです。

私たちのようにヨーロッパから日本にやってきますと、ここは本当に特別な出会いという感じがいたします。というのも、ここには本当に特別な文化があるからです。

そして、山の中をぬってこちらの水輪にやって来ますと、何か本当に特別に日本的なものがあるように感じがいたします。しかも、さらにこの水輪という施設に入ってきますと、しばらくここで時を過ごしているうちに、いつの間にか自分が日本にいるということを忘れてしまうということがいつも起こるのです。

つまり、ここにいることが当たり前な感じがしてきて、食事ももちろん特別で、しかし日本的であり、いろんなことが日本的であるけれども、ここで時を過ごしていることが、何か当たり前のこと、本当に普通のことのように思えてきてしまうのです。私がそういった違いを忘れてしまうのはいったいなぜだろうかということを、今回も自分で自分に問いかけてみました。その時私が思いついたのは今言える限りのことなのですが、二つのことです。

一つのことは、ここでアントロポゾフィー医学を学んでいる皆さんとまた再び出会って、そして共通の分野で共通の学びをするということ、私たちは別のところに住んでいるけれども、また一緒の学びをすることによって別の国から地球の遠いところからお互いに来て出会っているということを忘れるということ、それが一つです。

もう一つは、この水輪という場で私たちが出会う本当に細やかな、繊細な気遣い、それは私たちが至る所で目にする植物であったり、お花であったり、皆さんが細かく手入れしてくださっている全てのもの、それは私にとっては、これ以上日本的なものはないんではないのかと思われるほどすばらしいものがここにあるということです。

そしてそういった環境の中でこれだけ多くの様々な皆さんが、それぞれ様々な個性、そして様々な能力、可能性をお持ちの方々が一緒になって力を合わせてここで私たちを迎えてくださっているということです。そして、そのような方々にお会いすると、私はまるで、あ、ここで人間と人間の出会いがある、その人間ということが急に意識されて、ここが日本だということを忘れてしまうわけです。

そして、その上で私たちは再び意識するようになるわけです。つまり、この施設の中心にはある女性がいる。今日、改めて私は伺ったんですけれども、37歳という人生の最高の年齢、アントロポゾフィーの見地からするとそれは第二の月の交差点と言われる特別の意味を持った年齢ですけども、その人生の最高の年齢を生きているある女性が、しかし特別に自らを帰依するような、自分自身の意志を主張するのではない特別の在り方をしてここに存在しているということ。そして、そのように本当に重度の障害を持った方が、そのような特別な年齢を今生きている、そういった人間に出会うということが本当に特別なことだということがあります。

そして、そのような自らを捧げるようにして存在している、そういう人間に対して皆が無条件の愛を向けて、そして何かを求めること、何かを期待することなく、その人を助けるために力を合わせている中で、その愛が他の人々をも助けている、他の人々をも豊かにするというようなそういう施設のあり方をここで実現しているわけです。そして、それは私にとっては本当に普遍的な人間性、ドイツ的でもない、日本的でもない純粋な人間性であって、それが私がもう一つのこととして、言いたかったことなんですが、その素晴らしさを体験する時、私は自分が日本にいるということを忘れてしまうのです。

そして、そのことは本当に一つの手本、模範であって、皆さんが私たちをここに受け入れてくださって、そのような愛のあり方、存在のあり方を体験させてくださるということは、まさにそれが私たちが学んでいるアントロポゾフィー医学、そしてアントロポゾフィーの社会的、治療的芸術のまさに模範であるために、それを私たちにここで体験させてくださっているということに対して、感謝する以外はないわけです。本当に心から感謝しています。

そして、そのような私たち全員の感謝が、私たちが去った後も皆さんのもとにとどまること、ほんの少しでも皆さんを支える、あるいは、皆さんとともにあって、皆さんに少しの喜びを残すことを願っています。どうもありがとうございました。
 
 

2013年12月5日木曜日

愛のムチ

こんにちは。前回に引き続き、さおりちゃんの厳しさについておはなしします。さおりさんケアをしていると、さおりさんのやわらかな気にすっかり癒されて、眠くなってきてしまうことがあります。さおりさんのとなりで、こっくりとしてしまうことがありますが、そうすると、さおりさんから愛のムチがとんできます。さおりちゃんには、そんな気がないのかもしれませんが、ちょうど良いタイミングで命中する場所に、さおりさんの平手が飛んできたりします。さおりちゃんは、お数珠をジャラジャラと鳴らして遊ぶのですが、その数珠がバシンと、寝ている私の顔に命中する時があります。
 さおりちゃんを寝かせるために、さおりちゃんの横でいっしょにごろんとしていて、お歌を歌ったりおはなしをしていて、ついつい先にねむくなったりすると、さすがにさおりちゃんも嫌なのでしょう、ねないでよ~と、私のほっぺたをつっつきます。ああ、さおりちゃんは、すべてわかっているのだなと、よく思います。
 

 福祉の心は愛が原点です。自分の眠気に負けていては福祉の心を学ぶ実践にはなりません。眠気を切り替えて、自分に勝つこと、目の前の実習に集中することが大切です。

担当、佐藤りえ

こころの声

こんにちは。今日は、さおりちゃんの厳しさについてお話します。さおりちゃんは、周りの私たちを癒してくれる存在です、ですが同時に、いやがおうでも、自分を乗り越えさせてくれる厳しい存在でもあります。どういうことかというと、さおりさんケアをしていて、わたしたちの実習のミスは、すべて、さおりさんの命にかかわるからです。私たちの管理が悪くて、酸素のホースが途中で抜けているために、さおりさんの酸素の値が下がってしまったり、吸引器のコンセントが抜けているせいで、たんが詰まった時に、たんの吸引ができなかったり、常に、さおりさんには命の危険が隣り合わせです。先日は、寒くなってきたのに、薄めのズボンをはいていたため体が冷えて、おなかをいたがるようになってしまいました。私たち自身は、熱かったら自分で脱ぎ、寒かったら暖かい服を自分で切れますが、さおりちゃんはそれができません。かわいそうなことをしてしまいました。

もっともっと、言葉にならない、心のひだの奥から響いてくる心の声に、こころの眼や耳を澄ましていかなければならないと感じました。
 

さおりちゃんは、その身をもって、わたしたちに今に生きることをおしえてくれています。
 
担当、佐藤りえ

2013年11月28日木曜日

言葉


11月27日

こんにちは。今日は、さおりちゃんの言葉についてお話します。さおりちゃんは、生まれた時の傷で、頭蓋内出血を起こして、ハンディを負ってきたため、言葉を話せません。しかし、その代わりに、様々な声色で感情を表現しています。例えば、ごきげんなときには、だららららら~、や、おえおえおえ~、りりりり~、と大きな声で、ごきげんだよー、と教えてくれます。先日は、ちょっと変り種で、「あダダダダ、ら~」、の「ら~」にアクセントがついて歌っていました。2年前くらいには、「えおい~」という3語のことばを、おいしい、というようにつかっていたときもあります。

 これは、みどり先生から聞いたお話ですが、さおりちゃんは「ママ~」という言葉を、小さいときに、たった一度だけ言ったそうです。それ以来さおりちゃんのくちからその言葉を聞いていないので、ときどき「ママって言ってね、ママって。」といいながら練習するそうです。私も、こっそり「さおりちゃん、ママ、ママだよ。いってごらん。」と、ときどき練習します。さおりちゃんは、じっと私の言葉を聞いて考えているようですが、ひかえめに「あ、あ~」といいます。さおりちゃんは、本当は心の中ではたくさん、ママ~といっているのかもしれませんね。

 でも、いつかきっと言ってくれるかもしれないと思って、さおりちゃんといつも「ママ~、ママ~!」と練習していきます。さおりちゃんのこころと体には、きっといつまでも「ママー!」という音が響いていることでしょう。

 
担当、佐藤りえ

2013年11月22日金曜日

さおりちゃんの満月


こんにちは。昨日は、満月でした。さおりさんは、丸一日中眠らず、目がらんらんとしていました。

 さおりさんは、時々、興奮して眠らない時があります。そういう時はたいてい満月の前後です。

 さおりさんが小さいときに、主治医のせんせいが、満月の夜に眠らないさおりちゃんを見て「さおりちゃん、それじゃ、オオカミ少女じゃないかー」といいました。それを聞いてみどり先生はすかさず「先生、かぐや姫と言ってください!!」というやりとりがあったそうです。それからは、先生はさおりちゃんが診察に行くと、毎回「かぐや姫がきたね!!」といってくれたそうです。

さおりちゃんは、30年以上、飯綱に来てからですが、お月様のサイクルで生活しています。一日が25時間なので、一日に一時間ずつ、生活の時間がずれていきます。

なので、夜遅く起きだして、明るくなってから眠る日もでてきます。

満月の晩には、さおりちゃんの元気な声が、さおり庵に響きます。

 
担当、佐藤りえ

お風呂


こんにちは、今日はさおりさんの移動入浴の日でした。昨日は、道が凍って車が通れなかったため、一日遅れて今日になりました。毎回、優しいヘルパーさんが3名ほど来てくださり、母屋のリビングへ組み立て式の浴槽を運び込んで、お湯をそこへ溜め、

さおりさんを運んでお風呂に入れてくださいます。

 さおりさんはお風呂の時間も大好きです。

 
 昨年の冬は、乳腺症が悪化したため、菌の感染を防ぐために移動入浴車の浴槽ではなく、自家用のプール型浴槽を使い、ホースを組み立てて、浴槽のお湯を使って、母屋リビングで、水輪スタッフ実習生の皆で、さおりさんをお風呂に入れました。

 さし湯のお湯はたりているか、お風呂のお湯の温度はちょうどよいか、ホースを通ってプールにお湯が来るまでに、冷めてしまうので、熱めに温度を設定したりと、皆で役割分担をしてよい経験ができました。

 さおりさんに風邪をひかせないように、皆でさおりさんのいのちを真剣に守りました。

 

担当、佐藤りえ

2013年11月15日金曜日

ななかまど


こんにちは。昨日は初雪が降りました。まだ11月の初めだというのに、けっこう積もりました。



さおりさんの部屋の大きな窓から見渡す雪景色は、白銀の世界に、朝の日光が反射して、キラキラと光りとてもきれいでした。さおりさんのお部屋の前にはナナカマドの木が、窓に寄り添うように生えています。この木は、さおりさんが飯綱へきたころには、まだ窓の下に枝のてっぺんが来ているぐらいだったそうです。

 






 今では窓から見上げるくらいに、ナナカマドの木も大きくなりました。
 

さおりさんといっしょに成長し、さおりさんを、この30年間見守ってきた木です。

さおりさんの部屋を、ナナカマドの部屋とわたしたちは呼んでいます。

 さおりさんが、ほとんどの時間をすごすこの部屋は、部屋の中にいながら自然の森の中にいるように感じるほど、窓が大きく作ってあり、木々の枝がまじかに見えます。 

 春の小鳥のさえずりや、5月にはナナカマドの白い花、夏にはみどりの葉っぱの葉脈が光に透けて見え、秋には赤い実がなり、冬にはふんわりと枝に積もった白い雪。それぞれの季節が、手に取るようにまじかに見えます。

 
 さおりさんは365日、どこへも行かずこの窓から見える飯綱の四季を感じとっています。
 
担当:佐藤りえ

2013年11月11日月曜日

仙道さん


こんにちは。きょうは、さおりさんのマッサージをしてくださっている仙道さんのことをおはなしします。

 さおりさんは、仙道さんのマッサージがとっても大好きです。横になったままの姿勢が多いさおりさんは、以前は、左手がむくんだり、肩が凝って辛そうだったりしていましたが、今は一週間に4日仙道さんに来ていただいて、とっても幸せそうにしています。

 仙道さんは、盲目のマッサージ師さんですが、とても優しくさおりさんに接してくれる方です。仙道さんは、障がいを持っている人は、それに耐えうる強さを持っている、とおっしゃいます。「わたしは、いつもさおりちゃんから、いろいろ教えてもらっているよ。」とおっしゃいます。


 
 今年の5月にさおりちゃんが肺炎になって危篤になった時も、仕事の合間に毎日かよってくださり、ずっと付き添ってくださいました。

 じっとさおりさんにお手当てをして、気を送ってくださっていました。

さおりちゃんが快復した時には、心から喜んでくださいました。

 さおりさんも、そんな仙道さんが大好きで、とても安心して心をかよわせているようです。
担当:佐藤りえ

2013年11月3日日曜日

たつ巻き水

こんにちは。きょうはさおりさんの飲んでいるたつ巻水についてお話します。
 たつ巻水とは、8の字の形をしたグラスの中に、水道水を入れまわすことで、グラスの中でたつ巻を起こします。そうすると水道水がなめらかで飲みやすい水へと変化します。
これは、水輪へいらっしゃったシュタイナー医学を学んでいる先生に教えていただいたものです。
水輪では、今まで毎年5月に、アントロポゾフイー医学会がひらかれてきました。アントロポゾフィーとは、シュタイナー医学のことです。
 シュタイナーという思想家が説いた医学は、より人間の全般におよび、総合的に外側からも内側からも治療する医学です。
 さおりちゃんも、いらっしゃったせんせいがたに診ていただき、教わって
マッサージや、炭シップをしたり、音楽療法をしてきました。
 炭シップは、炭の作用で体内の毒出しになります。さおりちゃんは、脾臓がよくないといわれているので、背中の下のほうに、お湯に解いた炭を綿の布へ浸して、直接肌にあて、ネルの布でくるんで温枕で20分くらい温めます。体も暖まり、気持ちよさそうです。
 音楽療法は、体内のリズムをととのえるために、決まった時間に、一定の鐘の音を鳴らすということをしました。昼夜ぎゃくてんの生活は、変化ありませんでしたが、音の持つふしぎなはたらきが体内にも影響するのだということがわかりました。芸術療法というのは、自分を表現することで、能動的に、人間の治癒に働きかけるのだそうです。

 さおりちゃんの生活も、アントロ治療を受けることで、豊かになったようにおもいます。
 
担当:佐藤りえ


2013年10月28日月曜日

おめでたとび

皆様、こんにちは。今日は、眠っているさおりちゃんについてお話します。
さおりさんは、机にお座りしていて眠くなってくると、「おめでたとび」という格好をします。どういうことかというと、机に前のめりになり突っ伏して、両手を後ろへ投げ出し、手のひらを上へ向けて飛ぶような格好をします。
横になっているときも、眠る前になると両手をパタパタと振って飛ぶようなしぐさをします。さおりちゃんはもしかすると、夢の中でいつも自由にいろんなところを飛び回っているのかもしれません。
 眠っている間は、おめでた星へかえっているんだよ、と教えてくれたスタッフの方もいます。
 さおりさんが静かに眠っているようすは、純真無垢でほんとうに無防備です。
まわりのことを疑うことなど知らないような寝顔は、見ているこちらの心をも癒してくれます。万人の人の心の中にある、平安な境地、その場所をさおりさんはおもいださせてくれます。

担当、佐藤りえ

2013年10月26日土曜日

浄化


皆様こんにちは。昨日は、10月の誕生日会がひらかれました。そこで、水輪のできた原点であるさおりさんに向けて、一人一人が想いをはなしてくれました。そして、わたしたちは五体満足に生れてきたこと、それに対して自分の考え方さえ変えていけば、よくなっていけることを、みどり先生は、もう一度おっしゃいました。さおりを見てみなさい、あなたたちには、歩ける足がある、動かせる手がある。考え方さえ変えていけば、自分を変えていけるでしょう、だから真剣に生きなさい。と。
 昨年、さおりさんは重篤な肺炎にかかり死の淵に立つところまで行きました。
さおりさんが風邪をひくときは、周りの私たちにさおりさんがメッセージを出しているときだ、と研先生はおっしゃいます。
私たちが、さおりさんの身になって実習をしていないとき、いまにいきれていないとき、SOSを出しているさおりさんの声にならない声を見落としてしまいます。
そういったとき、さおりさんは、皆の在り方、方向性が間違っていることを知らせるために身をもって病気になるのです。わたしたちの業を背負って、浄化してくださっているのかもしれません。

                    担当,佐藤りえ

2013年10月24日木曜日

エステの時間


さおりさんには、10年以上続けている習慣があります。
それは食後のエステの時間。熱~いタオルでお顔を拭き、両手の指を一本ずつ拭いていきます。
さおりさんも気持ち良いのか、うっとりしています。かおのタオルを引っ張ろうとする手もゆるみ、じいっと、されるがままです。。おゆびのエステでは、さおりちゃんが自分で次の指をだして待っていてくれます。「いーち、にーい、さーん、」数を数えるのと一緒に、ぴょこっとお指をあげてくれます。
そして「よーん、ごーお、できたー!!さおりちゃんやったー!えらいねー。」
そういうと、さおりちゃんもほこらしげにしています。
 さおりちゃんの手は、丸っこくて柔らかで白い、とってもかわいらしい手です。
指は研先生に似ています。研先生は、しらうおの手、ならぬ「どじょうおの手」とおっしゃっています。二人が並んで寝ていると、同じ格好でねむっているときもあり、やっぱり、親子だなあ、と思います。

2013年10月19日土曜日

さおりのうた2


さおりさんは、何も話さないし、こうしてああしてとも言わない。
だけど、みなは自然にさおりさんのために動いている。
 さおりさんは、今この瞬間を懸命に生ききり、ほほえむ。
 お礼も、なにもいわないけれど、皆さおりさんのために動く。
 水輪のおおもとは、さおりさんの気。
 すべてを受け入れ、あるがままに流れる。
 水輪の不思議はこれだ。
さおりさんに、させていただくことは、
自分の良心へ向かってさせていただくこと。
さおりさんは、良心だ。
自分がこんなに美しかったのだと驚く
私たちはさおりさんに生かされ
無言で動けないさおりさんから発するエネルギーで自然に動いて生かされている
さおりさんはふしぎだ。
彼女が笑えばみんなみんな、よろこびにあふれる。

 さおりさんの笑顔は、花がこぼれるよう。
やわらかなひかりのなかに、あざやかな大輪の花が咲く。


さおりさんは43日の春生まれです。
さおりさんの気はやわらかな春のおひさまのよう。
やさしくあたたかな笑顔。
春の女神さま。

2013年10月17日木曜日

今日はさおりちゃんと日赤に行って参りました。


 一週間ほど前から、気管切開をしたさおりちゃんの喉につける「カニューレ」という器具が、にくげに引っかかることで、入りにくくなり、寝ている時、出血を繰り返してしまいました。

これは手術になるのではないか・・・。

そう思う中の緊迫した状態で出発をしました。
 
福祉タクシーの中で、緊張しているさおりちゃんにエールを送ります。

「さおりちゃん、い~ね~、久しぶのお散歩だね。楽しいね~。」

と安心の言葉を送るのは、お母さんのみどり先生。

「理恵ちゃん、横のカーテンをもっと開けてあげて。お外がよく見えるように」

寝台車を運転してくださった方はとても気転のきく方で安全運転をしてくれました。

そして、さおりちゃんの呼吸が速くなってくると、ストレッチャーの上半身の角度を

上げられることを教えてくれました。

無事日赤に着くと先に車を走らせていたお父さん(研先生)と航介さんが出迎えてくれていました。

病院に入る際はみんなマスクを装着します。
 
風邪の菌をもらわない様にと願をかけ、さおりちゃんにもマスクを装着します。

前回、日赤に来たときはマスクをいやがり何度も外そうとして

しまいましたが、今回はとってもおりこうさんにすることが出来ました。

耳鼻咽喉科の「ねつ先生」にみていただきました。
5年程前に来たことを覚えて下さっていました。

みんなの緊張が高まるなか、内視鏡がさおりちゃんののどの中に

入っていきます。

「う~ん、きれいですね、とてもいい状態ですよ」

いろいろな角度から見せていただきましたが、とってもきれいなピンクいろ

をしていました。

そこにいる、誰もがホッとし笑顔に変わりました。

「むしろ、入院していた頃よりいい状態になっていますよ。」

と、先生。

「やった~。
    良かったね~、本当に良かったね、 手術しなくてもいいん



だ。」

みなの安堵が伝わってきました。

喉だけではなく、お耳も診察して頂きました。

耳の中から大きな垢がとれましたがとりきれないものに関しては来週

治療させて頂くことになりました。

お耳の掃除は痛かったと思いますが、さおりちゃん、見事に頑張りました。

日赤の先生方、本当にありがとうございました。

そして、帰りの寝台車も行きと同じ運転手さんに来ていただき、無事おうちに帰ってきま

した。

母屋では、さおりちゃんの帰りを待っているスタッフ。
ニンジンとトマトのジュース。

消毒の準備。

さおりちゃんのために大掃除されたきれいなお部屋が用意されています。

「みんな、ただいま~。さおりちゃん無事だったよ、手術しなくても大丈夫」

みんなの安心と喜びが一つになりました。



おうちにもどってきたさおりちゃん、とっても元気いっぱいで

大きな声を出していました。

「あたたたたたたた~、あ~、あ~。」

「手術しなくて良かった~」

とさおりちゃんが安心しているように見えました。

さおりちゃん、本当に良かったね。

お疲れ様でした。

担当:小林